不思議なことに、古民家に熱い視線が注がれるようになったのは、遠い異国の地の外国人の方々からでした。バックパッカー姿でやってきた日本文化の研究者たちが、ニッポンの原風景の素晴らしさと古民家の佇まいに息をのんで、そこから世界中に「コミンカ、エクセレント!」とブログ発信が始まったのです。
当の私たち日本人は、何百年も何千年もその歴史の中で暮らしていながら、古民家がもつ美しさや優しさや、先人たちが連綿と伝えてきてくれた技とか思いの奥深さに振り返ることはありませんでした。
近代化や工業化、使い捨て、取り壊し、都市計画といったものに疲れ果てたこの21世紀になって、私たちはようやく足を止め、一軒の古びた家屋に小さな声でお礼が言えるようになりました。
そしていま古民家再生というニッポン独自の新しい文化と技術が、山村各地の古民家を甦らせ、若い世代の日本人に住み継がれるようになりました。
